Red Hat Enterprise Linux 9互換OSでのElmerコンパイル2025年07月14日 20:20

GNOMEのメニュー
Red Hat Enterprise Linux 9互換のAlmaLinux-9(WSL2)、RockyLinux-9(Windowsとデュアルブートのネイティブ)の環境において、Elmerのコンパイル(ElmerGUI, MUMPS, MMG, Lua)に成功しました。

使用した手順やスクリプトをElmer本家のフォーラムに投稿しました。
https://www.elmerfem.org/forum/viewtopic.php?t=8667

スクリプトだけで操作ができる内容ですので、文章を書かずにコード主体にしました。
英文を書く量が少ないので、英語が苦手な方でも負担が少ないと思います。

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WSL2のデスクトップ画面のない環境で使うことが多かったですが、デュアルブートのGNOME環境で操作するのも新鮮さがあってよかった。

オープンCAEソフトの計算速度の比較2025年07月05日 21:16

3D四面体メッシュ 758208個(一次要素)の条件で熱伝導解析 or 静電場解析を行って、計算時間を比較しました。基本的にメッシュを4分割して、4並列のMUMPS解法(BLASの性能がそのまま出る条件)としました。
FrontISTRが最も速く Linuxの実環境で3.04s、 フォールバックしないVirtualBox、WSL2、Hyper-Vで3.4s前後です。
次は、blasとlapackをintel-mklとしたElmerです。Linuxの実環境で7.0s、フォールバックしないVirtualBox、WSL2で7.5〜7.8s。

比較したソフトは、以下の通りです
FrontISTR https://www.frontistr.com/features/
Elmer https://www.elmerfem.org/blog/
Salome-meca https://code-aster.org/spip.php?article146
PrePoMax https://prepomax.fs.um.si/
Onelab https://onelab.info/

PrePoMaxもPardiso解法の効果により比較的高速です。
OneLabやSalome-mecaは、計算速度の面ではあまり魅力はありません。
しかし、OneLabは、テンプレートなどの雛形があれば設定が最も簡単です。
Salome-mecaは、長い実績のあるソフトなので解析結果の比較用として活用できます。

詳細は、小生のQiitaへの投稿をご確認お願いします。メッシュや解析結果も紹介しています。
https://qiita.com/HD_mount_Music/items/b73cadd97acf0f0100a1

今年のLinuxディストリビューション大型リリース2025年06月15日 16:55

Hyper-Vをオンにすると、VirtualBoxから起動できない
今年の5月に商用Linuxとして、最も有名なRed Hat Enterprise Linux (RHEL) 10がリリースされました。
また、ボランティアベースとして最も規模の大きいDebian 13は、リリース候補のインストールメディアとリリースノートが公開され、近々リリースされる状況です。

RHEL-10の大きな変更は、アーキテクチャーをx86-64-v3(Haswell以降)、デスクトップ環境をGNOMEとKDE Plasmaに絞り、性能と信頼性の両立を目指したものと推定されます。

互換OSのAlmaLinux10により確認したところ、以下の状況でした。
(1) WSL2やHyper-Vのマイクロソフトの仮想環境では動作する
(2) VirtualBoxについては、マシンスペックが足りないとのメッセージ表示されインストーラーの起動すらできない状態でした(Hyper-Vが有効になっていると、Windowsがリソースを優先的に確保し、ゲストOSへのリソース制限されるためだと考えられる)
(3) pipからpythonパッケージをインストール可能(Debian-12, Ubuntu 24.04からは、pipコマンドからはシステム領域にインストールできなくなりました)

Debian 13については、ほぼ出来上がっている状態です。
VirtualBox、WSLにインストールしましたが安定しています。
初代Surface Goを有線LANからインストールしたときに、未確認バグ、マイナー周辺機器のサポート終了か原因がわかりませんが、USB 3.0/イーサネット変換アダプタ(ASIX USB to Gigabit Ethernet Family Adpter)が正常に動作しなかったです。
ユーザーがマシンのスペック・用途・好みに合わせて、カスタマイズ可能な柔軟さがあります。

詳細は以下のQiitaへの投稿をご確認お願いします。
https://qiita.com/HD_mount_Music/items/c9c94f03fdff451d488c

マイクロソフト以外のPC-Linux環境は難しい2025年06月12日 17:15

VMwareインストール時のメッセージ
Pythonによる行列転置(モジュールのインポートなし)、Scilabによる行列乗算(Intel-MKL, OpenBLAS)、FrontISTRのTutorial 2(Intel MKLとMPI、4並列)により動作速度を比較して、WSLやHyper-Vが高速との結果が得られました。

しかし、冷静に考えると、フェアな評価ではありません。
マイクロソフトがOSの基盤部分を有利に使用しているのが影響していると感じました。

VirtualBoxは、動作が不安定になることはないですが、WSL・Hyper-Vを使用している場合はフォールバックモードとなるようです(VirtualBoxを単独インストールすると、openblasがHASWELL:avx2と認識するが、WSL・Hyper-V機能をオンにすると低速のNehalem:SSEとなります)。

以下、私のXへのリンク
https://x.com/HD_mount_Music/status/1932062960182251806

VMwareは、買収される前から個人向け製品には力をいれていないように感じていました(SSDやIntel 12世代以降のcoreシリーズPコア・Eコアへの対応、など)。
個人向けは使用環境は混沌としていて、保守サービスの手間はかかるが、高価すぎると売れないので、利益がでなかった?
VirtualBOXよりもPC環境がシビアなようです。デバイスセキュリティのコア分離などをオフにする必要があるようです。
端末の入力が遅くなったと思ったら、マイクロソフトの仮想化が復活していることがありました。
https://zenn.dev/inada/articles/3ae416fe297d17

「Windows 95」とWebブラウザ「Internet Explorer(IE)」抱合せ販売で問題になった独占し、有利な立場を利用する体質を思い出しました。

「小学生に自治体配備の学習用端末、Windows激減 コスパが決め手?ChromeとiPadがシェア分け合う」という記事があるので、2000年前後とは戦略を変える必要があると思います。
https://www.chunichi.co.jp/article/1073065

WSLgのOpenGLアクセラレーション2025年05月22日 18:30

d3d12のGPUモード。GPUだけで156ワットは大きい
WSLgのOpenGLの動作モードについて、わかりやすくまとまった情報がなかったので、実際に動作させて整理しました。
ディストリビューションはDebian12とし、mesa関係はbackportsの新しいバージョン(Mesa 25.0.4-1~bpo12+1)にアップデートしています。

WSLgは、d3d12とLLVMpipeの両方で動かすことができ、コマンド操作により切り替えができます。
export GALLIUM_DRIVER=d3d12 or llvmpipe

d3d12を使用するとGPUの負荷が上がり、 ソフトウェアレンダリングのLLVMpipeを使用するとCPUの負荷が上がります。

マイクロソフトの記載のあった項目(GpuTest 0.7.0のピアノ)は、WSLg+d3d12によりフレームレートが上がります。
https://devblogs.microsoft.com/commandline/wslg-architecture/#system-distro
しかし、項目によっては、LLVMpipeと大差こともありますので、GPUアクセラレーションの効果は、アプリの作り方次第です。

なお、ノートパソコンのように複数のGPUがある場合は、以下のコマンドによりGPUを変更できます。
export MESA_D3D12_DEFAULT_ADAPTER_NAME=NVIDIA or INTEL

詳細は、Qiitaに投稿しましたので、ご参考まで。
https://qiita.com/HD_mount_Music/items/701559d57787a2f183c9